熊本県民共済「新型火災共済」の口コミ評判は良い?加入前に知っておくべきメリット・デメリット

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熊本県では、2023年に640件の火災が発生し、そのうち266件が建物火災でした。2023年の熊本県全体の世帯数は約74万世帯ですので、火災が発生する確率は0.04%以下です。とはいえ、近年は熊本県での自然災害が増えており、火災保険の重要性が改めて見直されつつあります。

一方で、物価高が続いている影響もあり、火災保険の掛け金を少しでも抑えたいと考える方も増えています。そこでこの記事では、掛け金の安さで人気がある、熊本県民共済の火災共済「新型火災共済」の口コミや評判、メリット・デメリットについてご紹介していきます。

熊本県民共済「新型火災共済」の口コミ評判

まずは熊本県民共済の「新型火災共済」について、SNSで口コミを調査しましたが、熊本県限定の投稿はあまり見つかりませんでした。ただし「新型火災共済」は全国共通の共済制度ですので、ここでは全国の加入者の声も合わせてご紹介していきます。

SNSで多く見かけたのが「掛け金が安い」という投稿でした。保険会社の火災保険よりも掛け金を抑えることができるため、加入している火災保険を解約し、熊本県民共済の「新型火災共済」への乗り換えを検討している人もいました。

また、共済金の支払いがスムーズであることも、加入者から高く評価されています。特約の追加も電話だけでできたという声もあり、手続きがシンプルであることも、おすすめポイントとして挙げている声もありました。

ただし、一部では自然災害への備えが不足していることを心配する投稿もあり、メリットだけでなくデメリットもあることが伝わってきます。具体的にどのようなメリットやデメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

熊本県民共済「新型火災共済」のメリット

  • リーズナブルな掛け金で利用できる
  • 2024年度「顧客満足度第1位※」だから安心
  • 大地震でもスムーズな対応を期待できる
  • 地域サービス員が自宅まで説明に来てくれる
  • 組合員だけの特典がたくさん用意されている

※2024年度JCSI(日本版顧客満足度指数)第3回調査結果

熊本県民共済の「新型火災共済」には、このようなメリットがあります。それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

リーズナブルな掛け金で利用できる

熊本県民共済は非営利の事業であり、加入者の負担コストを可能な限り小さくすることを理想としています。具体的には「一律保障・一律掛金」のシンプルな制度を導入することで、事務手続きを簡素化するなど、コストの簡素化を徹底しています。

その結果、保険会社の火災保険と比較して、掛け金がリーズナブルになっています。たとえば、35坪の木造住宅に家族4人で暮らす場合の掛け金は次のようになります。

住宅の掛金額
(年払い)
19,600円
家財の掛金額
(年払い)
12,800円

合計の掛け金は、1年間で32,400円になります。同じ条件で保険会社の火災保険に加入したときの掛け金の相場は4万〜8万です。このように、保険会社の火災保険よりも掛け金がリーズナブルで、家計への負担になりにくいといったメリットがあります。

2024年度「顧客満足度第1位」だから安心

熊本県民共済が所属する都道府県民共済グループは、2024年度JCSI(日本版顧客満足度指数)第3回調査結果において、「生命保険部門」、「損害保険部門(住宅・火災保険)」の2部門で顧客満足度第1位となっています。

掛け金の安さがその最大の理由として挙げられますが、高く評価されている理由はそれだけではありません。

  • 余剰金は割戻金として還元される
  • 共済金のスピーディーな支払い

このような点も「顧客満足度第1位」達成の背景にあり、加入者にとって安心して利用できる共済制度になっています。

大地震でもスムーズな対応を期待できる

熊本県民共済は、2016年に発生した熊本地震を経験しており、大規模災害時の迅速な対応ノウハウを備えています。

熊本地震以前の熊本県は地震リスクが低い地域とされており、実際に大地震がほとんど起きていないため、地震による損害リスクが軽視されがちでした。ところが熊本地震を体験したことで、「地震はいつ起きてもおかしくない」という意識でのサポートを期待できます。

地震だけでなく水害も同じで、想定外の大規模自然災害が発生しても、慌てることなくスムーズな対応を期待できます。

地域サービス員が自宅まで説明に来てくれる

熊本県民共済の「新型火災共済」は、熊本市内にある熊本県民共済生活協同組合の窓口で加入についての説明を受けられる体制が整っています。それだけではなく、希望すれば地域サービス員が自宅まで説明に来てくれます。

説明に来てくれたとしても、必ず加入しなくてはいけないわけではありません。加入を断っても構いませんし、それ以前に無理な勧誘はしないと明文化しているため、安心して訪問説明を利用できます。

組合員だけの特典がたくさん用意されている

熊本県民共済は火災共済や生命共済などの共済事業だけでなく、組合員の生活にゆとりをつくりだすために、さまざまな還元事業を展開しています。

  • オーダーメイドスーツの作成
  • 国内生産ランドセルの販売
  • 真珠製品の販売
  • 組合員のためのイベント開催

これらは、「新型火災共済」に加入することで受けられる特典で、組合員なら誰でも手軽に利用できます。しかも熊本県民共済の場合は、実店舗である県民共済プラザで、いつでもこれらのサービスを利用できます。

熊本県民共済「新型火災共済」のデメリット

  • 地震や火山の噴火に対しての保障が弱い
  • 水害に対する保障が限定的
  • 加入中に制度内容が変わる可能性もある
  • 併用住宅は居住部分のみが保障対象になる
  • 3ヶ月連続の振替できないと加入が失効する

熊本県民共済の「新型火災共済」はメリットだけでなく、これらのデメリットもあります。デメリットについても内容をしっかり把握しておきましょう。

地震や火山の噴火に対しての保障が弱い

地震のリスクが少ないとされていた熊本県ですが、熊本地震の発生をきっかけに新たな活断層が発見されており、今後も大地震が起きる可能性があります。さらに阿蘇山の噴火や、雲仙普賢岳の噴火による津波などによる災害も想定されています。

そのような災害に対する備えとして地震保険が有効ですが、熊本県民共済の「新型火災共済」は地震保険を追加することができません。その代用として、見舞共済金や地震特約によって備えることは可能ですが、自宅が全壊しても加入額の20%までしか共済金は支払われません。

つまり、地震や噴火で自宅が全壊しても、建て直しに必要な費用の一部しか賄えず、多額の自己負担が必要になるという大きなリスクを抱えることになります。

水害に対する保障が限定的

熊本県は梅雨時期に降雨量が増えやすく、2020年7月には豪雨により球磨川が氾濫し、県全域で217棟が全壊、458棟が半壊しています。このような水害は過去にも何度も発生しており、熊本県では水害に対する備えも重視されています。

ところが、熊本県民共済の「新型火災共済」は水害に対する保障は、見舞共済金として最大600万円しか受け取れません。しかも損害規模が大きく、総支払限度額(850億円)を超えた場合には、その600万円も削減される可能性があります。

このように、水害に対する保障が十分とはいえない内容になっているのも、熊本県民共済の「新型火災共済」の大きなデメリットのひとつです。

加入中に制度内容が変わる可能性もある

「新型火災共済」の掛け金や保障内容は、罹災(りさい)率によって定期的に見直しが行われています。見直しによる制度内容の変更があった場合、加入中でも変更後の内容が適用されるため、想定していた共済金を受け取れなくなることも考えられます。

保険会社の火災保険は大幅な値上げが続いており、さらに物価高の影響から、熊本県民共済の「新型火災共済」も、いずれは掛け金が上がる可能性もあります。掛け金の安さで加入したのに、契約中に掛け金が上がって優位性が薄れることも考えられます。

併用住宅は居住部分のみが保障対象になる

熊本県民共済の「新型火災共済」は、「住宅」を保障対象としているため、事務所や店舗などを保障対象にして加入することができません。さらに、併用住宅で以下のいずれかに該当する場合には、居住部分のみが保障対象になります。

  • 店舗等部分の面積が20坪以上
  • 店舗等部分の面積が 居住部分の面積を超える

※店舗等部分は居住と共用の部分を含みます。

さらに、法人名義の住宅も加入できません。節税のために法人名義で自宅を購入する予定の方もいるかと思いますが、その場合は熊本県民共済の「新型火災共済」は利用不可となります。

3ヶ月連続で振替できないと加入が失効する

熊本県民共済の「新型火災共済」は、掛け金の振替が3ヶ月連続でできないと、自動的に「新型火災共済」の加入が失効します。

1ヶ月以内であれば、組合の承認により加入を復活できますが、復活するまでの期間は無保険状態になってしまいます。その期間中に火災や自然災害による損害があった場合には、共済金を受け取ることができないどころか、加入の復活もできなくなります。

熊本県民共済の火災共済概要

ここまでの内容で、熊本県民共済「新型火災共済」の口コミや評判、メリット・デメリットを把握できたかと思いますが、そもそもどのような共済になっているのかわからないという方もいるかと思います。

そこでここでは、熊本県民共済の火災共済「新型火災共済」についての概要をご紹介していきます。

加入条件

  • 熊本県在住もしくは県内勤務
  • 相互扶助によって組合員の生活の安定と向上を図るという趣旨に賛同する
  • 熊本県民共済に200円の出資金を払って、組合員となっている

熊本県民共済の「新型火災共済」に加入するためには、熊本県民共済の組合員であることが条件になります。ただし、「新型火災共済」の加入に合わせて組合員になることもできるため、県内在住者もしくは勤務者であれば、誰でも利用できます。

地震特約

新型火災共済に付帯できる「地震による損害に備える」特約です。加入額(保障)は新型火災共済の加入額の15%です。

保障の計算例

構造:木造

新型火災共済の加入額(住宅と家財の合計):3,300万円

建物が所在する都道府県:熊本県

加入額:3,300万円×15%=495万円

(見舞共済金と合わせて660万円が支払われます)

年払い掛金:3,300×3=9,900円

月払い掛金:3,300×0.2625=867円

※「3」および「0.2625」は、熊本県(Aグループ)における新型火災共済加入額1万円あたりの掛金です。

熊本県共済「新型火災共済」の申込み方法

熊本県民共済の新型火災共済の申込み方法は、下記の3つです。

  • インターネット
  • 郵送
  • 銀行(肥後銀行 熊本銀行)

手軽なのはインターネットで、県民共済の公式サイトから簡単に申し込みできます。インターネットが苦手という方のために、郵送や銀行窓口での申し込みにも対応しています。

熊本県民共済「新型火災共済」掛金の払込方法

熊本県民共済「新型火災共済」の掛金の払込方法は保険会社の火災保険と異なり、クレジットカードやコンビニ払い、スマホ決済などには対応していません。金融機関の指定口座から振替にて払い込む必要があります。

加入を検討する際の注意点

熊本県民共済の「新型火災共済」は、掛け金の安さが大きな魅力ですが、実際に加入する前にいくつか注意しておきたいポイントがあります。きちんと把握しておくことで、加入後に後悔するリスクを減らすことができますので、ぜひ参考にしてください。

水害リスクの低い場所に家を建てる

熊本県民共済の「新型火災共済」は水害に対する保障が限定的で、大規模な浸水や土砂災害による損害が発生した場合、支払われる共済金だけでは十分に修繕できない可能性があります。

そのため、家を建てる場合には必ず地域のハザードマップを確認し、地盤がしっかりしていて、できるだけ高台に位置する土地を選ぶようにしましょう。

どうしても水害リスクの高い地域で暮らす必要がある場合には、戸建てではなくマンションを選び、リスクを軽減する方法も検討してください。

共済金の支払いに時間がかかることも想定しておく

万が一の災害時には、共済金の支払いまで時間がかかることも想定しておく必要があります。

熊本県民共済は、熊本地震を経験したことで迅速な対応力を備えていますが、大規模災害時には事務手続きや調査に時間を要し、支払いまで最長で360日かかる場合もあります。

火災共済に加入しているからといって安心するのではなく、災害直後に必要な生活資金は自分でも備えておくことが大切です。毎月少しずつでも貯金を続け、いざというときに備えておきましょう。

メインバンクを振替口座にする

掛け金の振替口座とメインバンクが別々になっていると、3ヶ月連続で振替できずに加入を失効させてしまう可能性があります。これを回避するために、メインバンクを振替口座として設定してください。

肥後銀行・熊本銀行・ゆうちょ銀行(総合口座通帳)をメインバンクにしている場合には、申込方法にかかわらずその口座を振替口座とできます。

それ以外の金融機関の口座をメインバンクとしている場合、インターネットから申し込みした場合に限り、その口座を振替口座にできます。インターネットが苦手という方もいるかもしれませんが、加入の失効を防ぐためにも、インターネットからお申し込みください。

地震保険に加入したいなら保険会社の火災保険を選ぶ

すでにお伝えしましたように、熊本県民共済の「新型火災共済」は地震保険に加入できません。地震特約を付けることはできますが、見舞共済金を合わせた共済金は、加入額の20%までとなります。これでは生活を再建するための資金としては心もとなく感じる人もいるかと思います。

その場合には、熊本県民共済の「新型火災共済」にこだわるのではなく、保険会社の火災保険を選び、火災保険にも加入しましょう。

丸尾
丸尾

掛け金は大幅に上がりますが、水災を含めたあらゆる自然災害にも備えられるため、安心感も大幅にアップします。

また、保険会社の火災保険でも保障内容をカスタマイズすることで、掛け金を抑えることも可能です。地震だけでなく自然災害にもしっかり備えたい方は、最初から熊本県民共済の「新型火災共済」に絞るのではなく、保険会社の火災保険も含めて比較検討しておきましょう。

まとめ

熊本県では、熊本地震や繰り返される豪雨を経験したことで、火災保険を選ぶ際にも、単なる火災リスクだけではなく、地震や水害に対する保障もしっかりさせたいと考える人が増えています。その中で、熊本県民共済の「新型火災共済」は、掛け金の安さが大きな魅力でありながらも、自然災害に対する保障の薄さが気になる商品となっています。

たしかに、「新型火災共済」は、保険会社の火災保険や地震保険のように手厚い保障を受けることはできませんが、地震特約を付帯することで、加入額の20%までは共済金を受け取ることが可能です。また、熊本県特有の水害リスクに関しても、地盤の強い高台に住宅を建てることで、ある程度は被害のリスクを下げることができます。

いずれにせよ、火災保険や火災共済を選ぶ際には、掛け金の安さだけに目を向けるのではなく、保障内容についても十分に理解し、納得したうえで決めることが大切です。熊本県民共済の「新型火災共済」だけに絞り込むのではなく、保険会社が提供している火災保険とも比較検討してみてください。地震や水害などの自然災害に対して、どの程度の保障が必要なのかを冷静に見極めたうえで、自分にとって最適な選択をすることをおすすめします。