【FP監修】火災保険の補償金額の決め方!新築・マンション・中古を詳しく解説

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火災保険に加入するときには、補償金額を決めなくてはいけません。補償金額が少なすぎると火災などの事故が発生したときに十分は補償を受けることができず、補償金額が大きすぎると必要以上に保険料を払うことになります。そうならないために、補償金額は適正な金額になるように設定する必要があります。

そこでここでは火災保険の補償金額の決め方について、わかりやすく解説していきます。これから火災保険に加入するという人や、更新のタイミングで見直しを考えている人は、ぜひ参考にしてください。

補償金額を決める前に知っておきたい基礎知識

まずは補償金額を決めるために、知っておきたい基本となる知識についてご紹介します。専門用語がいくつか出てきますので、少し分かりづらいかもしれませんが、補償金額設定で失敗しないためにも、きちんと理解しておいてください。

火災保険の補償金額は自分で決める

火災保険の補償金額設定が難しいのは、自分で最適な補償金額を決めなくてはいけないという点にあります。

住宅の価値は1軒ごとに違い、補償金額を一律にすると事故発生時に十分な保険金を受け取れなくなる可能性があるため、個別に各自が設定するようになっています。

このため、自分で建物や家財の価値を判断しなくてはいけません。専門家でもないのにそんなことができるの?と思うかもしれませんが、基本となる考え方を理解しておけば、それほど難しいことではありません。まったくの素人でも、簡単に補償金額を決められますので安心してください。

「再調達価格(新価額)」と「時価額」の違い

火災保険の補償金額を決めるときの基本となるのが、建物や家財の「評価額」です。2,000万円で購入した建物なら評価額は2,000万円ということになります。ただし建物や家財の評価額というのは、物価の変動や経年劣化の影響を受けます。

例えば新築2,300万円の家が、経年劣化によって15年後には1,000万円の価値に下がったとします。

火災保険では「損失分を補償する」のが基本的な考え方になるため、2,300万円の家でも現在の価値が1,000万円なら、補償金額(損失)は1,000万円になります。この考え方を「時価額」と呼び、以前の火災保険ではこのタイプの補償方法が主流でした。

ところが損失が1,000万円だったとしても、家が全損したときに住宅ローンも残っていて、同じ家を建て直すためには、さらに追加で1,300万円借りなくてはいけません。そうなると返済困難になる可能性があります。これでは火災保険の意味がありません。

そこで最近の火災保険では、時価ではなく、新築時の評価額で保険金を支払う「再調達価格(新価額)」が主流になっています。上記の例ですと経年劣化があったとしても、家が全損したときには新築での購入価格2,300万円が保険金として支払われます。

補償金額は評価額を基準に決める

保険金は新築時の評価額によって支払われるとお伝えしましたが、この考え方からすると火災保険の補償金額は、新築時の評価額をそのまま補償金額として設定すればいいことになります。再調達価格が主流になったことで、補償金額の決め方はとてもシンプルになっています。

ただし、補償金額と評価額を必ずしも揃える必要はありません。例えば家を購入したときには4人家族だったとしても、子どもが独立して夫婦2人暮らしになったとします。もし家が全損しても、建て直す家をコンパクトにするなら、再建費用を安く抑えることが可能です。

新築時の評価額2,000万円
建て直しの金額1,500万円

家族4人で暮らしているうちは、家の全損に備えて補償金額を2,000万円にする必要がありますが、夫婦2人暮らしになれば補償金額を1,500万円まで引き下げてもいいわけです。補償金額を下げれば保険料も安くなるので、火災保険の無駄がなくなります。

【建物編】補償金額を決め方

補償金額の決め方として、新築時の評価額(売値)をそのまま補償金額にすればいいとお伝えしましたが、戸建の場合には土地と一緒に購入しているケースが多く、建物だけの価格が分かりづらいという問題があります。中古戸建ての場合には、そもそも新築時の評価額がわかりません。

そこで、ここでは建物の評価額をどのように算出すればいいのか、具体的な計算方法をご紹介していきます。

新築戸建ての補償金額

新築戸建ての場合には、建物購入価格を補償金額に設定します。建物だけの購入価格が分かっている場合にはそれをそのまま補償金額にしてください。土地と一緒に購入して建物だけの価格がわからない場合には、次の計算式で求めてください。

建物購入価格 = 消費税額 ÷ 0.1

土地には消費税が発生しないため、支払った消費税はすべて建物の価格によるものです。ここから逆算するのが上記の計算式で、支払った消費税額を0.1で割れば建物購入価格がわかります。あとはこの建物購入価格を補償金額に設定するだけです。

中古戸建ての補償金額

中古戸建ての補償金額は、年次別指数法もしくは新築費単価法を使って算出します。それぞれの計算式を見ていきましょう。

年次別指数法

建築年と建築価額が分かる場合には、下記の計算式で建物評価額を算出します。

建物評価額 = 新築時の建築費 × 建築費倍率

新築のように単純に建物価格を補償金額にするのではなく、物価の変動などを考慮した建築費倍率を乗じて建物評価額を決めます。建築費倍率は地域頃に毎年見直しが行われる指数で、この算出方法を年次別指数法と呼びます。

新築費単価法

建築年と建築価格がわからない場合には、下記の計算式で建物評価額を算出します。

建物評価額 = 延床面積 × 平均建築単価

平均建築単価は、建物構造や地域ごとに算出された1㎡あたりの標準的な建築費のことで、これに延床面積を乗ずることで概算の建物評価額を計算できます。ただし、概算建物評価額で精度が高くないため、通常はプラスマイナス30%での調整を行います。

マンションの補償金額

マンションの価格は少し複雑で、専有部分の価値だけでなく共有部分や土地代も含めて販売されます。火災保険の補償対象となるのは専有部分のみですので、購入金額から共有部分の評価額や土地代を省く必要がありますが、それぞれを分離するのが難しいため、新築費単価法を使って概算の評価額を算出します。

【家財編】補償金額の決め方

各社簡易評価表
セゾン自動車火災保険公式サイト
損保ジャパン公式サイト
ジェイアイ傷害火災保険公式サイト
東京海上日動火災保険公式サイト
あいおいニッセイ同和損害保険公式サイト

火災保険に家財補償を付ける場合には、家財に対しても補償金額を設定しなくてはいけません。

このとき自分の家財をひとつずつリストアップして、それぞれの価格を合計すると精度の高い補償金額設定とできますが、家族がいる場合には家財の数が膨大な量になるため、リストアップするのは現実的ではありません。

このため家財の補償金額は、保険会社が用意した簡易評価表を使って算出するのが一般的です。

簡易評価表は世帯主の年齢や家族構成によって算出した家財金額の目安で、例えば夫婦+子供2名だと1350万円前後、家財金額の目安となっています。

画像参照:あいおいニッセイ同和損害

この目安を参考にして、家財が多い人は補償金額を多めに、家財が少ない人は補償金額を少なめに設定します。自分で判断が難しい場合には、保険会社や保険代理店の担当者と相談しながら決めることができます。

家財の補償金額の決め方については別記事がありますので、詳しくはそちらをご参照ください。 火災保険の家財補償いくら?について詳しく解説

地震保険の補償金額は火災保険の最大50%

ここまでの説明で、火災保険の補償金額をどのように決めればいいのか把握できたかと思いますが、ここで地震保険の補償金額について簡単に説明しておきます。地震が原因の火災は火災保険では補償されないため、地震に備えるには地震保険への加入が必要になります。

この地震保険も補償金額を設定しなくてはいけませんが、こちらは火災保険で設定した補償金額の30〜50%の範囲で決めることになります。このため、火災保険で建物に2,000万円の補償をつけていても、地震保険の補償金額は最大でも1,000万円までとなります。

また建物は5,000万円、家財は1,000万円という上限も設けられているため、地震被害を保険ですべて補うことはできません。

地震保険と(は)火災保険と違い、被災したときに被災前の状態に戻すことを目的としていません。震災などにあったときに、生活を再建するための資金を提供するのが地震保険の役割になります。被災したときに、住居を確保するための資金や仕事を再開するまでの住宅ローンの支払いなどを補償するのが地震保険です。

地震保険に加入していると安心と思うかもしれませんが、火災保険とが目的が違い、補償金額も火災保険よりも少なくなるということを覚えておきましょう。

補償金額の決め方で困ったときは相談しよう

火災保険の補償金額を間違えると損害があったときに十分な補償を受けることができず、金銭的に苦しくなってしまいます。このため、できるだけ適正な金額設定をする必要がありますが、正確に算出するには専門的な知識が求められます。

丸尾
丸尾

このため自分で判断できないと思ったら、保険会社や保険代理店に相談しましょう。いずれも火災保険のプロが在籍していますので、補償金額をいくらに設定すればいいのかアドバイスしてもらえます。

火災保険の窓口でも、一括見積りサービスだけでなく保険会社選びや補償金額設定のアドバイスを行いながら、最適な火災保険選びをサポートしていますので、補償金額の決め方で困ったときにはぜひご連絡ください。

まとめ

以前の火災保険は時価額で保険金の支払いをしていましたが、現在はほとんどの火災保険が再調達価額で保険金を支払ってくれるので、保険金だけで家を建て直すことが可能です。ただし、補償金額を正しく設定していないと、十分な保険金を受け取れません。

新築一戸建ての場合には建物購入価格をそのまま補償金額に設定し、中古戸建ては物価の変動を考慮した年次別指数法、建築年と建築価格がわからない場合やマンションは新築費単価法で建物評価額を算出しましょう。

家財はすべてリストアップして価格を合計するのが理想ですが、家財点数が多い場合にはリストアップするのも大変ですので、保険会社が用意した簡易評価表を使って、自分の家財評価額を推定してください。このとき自分で判断するのが難しい場合に、保険会社や保険代理店の担当者に相談しましょう。

最終的に決めるのは自分自身ですが、すべてを自分で判断する必要はありません。専門的な知識を持った人のアドバイスを受けながら、無駄のない火災保険になるように補償金額を決めましょう。