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2015年以前に住宅を購入した人は、住宅ローンに合わせて火災保険を35年契約としているかと思います。ところが最近の火災保険は5年契約が一般的で、そうなってくるとこのまま35年契約の火災保険で大丈夫なのか不安になりますよね。
そこでここでは、35年契約の火災保険を5年契約に変更するメリットや、5年長期一括契約にしたときの保険料相場についてご紹介していきます。古い火災保険の見直しを考えている人は、ぜひ参考にしてください。この記事2023年10月14日時点の情報になります。
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丸尾健 FP経験15年目
(1971.1生まれ)
株式会社N&Bファイナンシャル・コンサルティング代表取締役。大学卒業後、大手商社系ハウスメーカーの店長職を経て国内金融機関のファイナンシャル・プランニング部門に転職。FP経験現在15年目。新規年間相談件数120件前後、面談累計件数1,500件以上。主に個別相談を中心に活動する実務家FP。
最新の火災保険は契約期間が最長5年に
以前の火災保険は最大36年契約が可能でしたが、2022年10月から契約期間は最長5年までとなりました。
5年で契約が打ち切られるのではなく、更新すれば継続できるようになっています。ただし更新までに火災保険の値上げがあると、更新時には新料金での契約になります。
最長5年契約までになった理由は、近年多発している自然災害が関係しています。保険会社は自然災害や事故がどれくらいの割合で発生し、どれだけの保険金支払いがあるのかを想定して保険料を設定しています。36年契約の火災保険なら、36年後まで想定して保険料を決めているわけです。
ところがここ最近は震災を含めて自然災害が多発しており、自然災害リスクを想定するのが難しい状況になってしまいました。そこで保険会社は36年という長期間ではなく、自然災害リスクを想定しやすい5年を最長期間として、柔軟に保険料を改定できるようにしたというわけです。
火災保険の契約期間が5年となったことで、各保険会社が競うように魅力的な火災保険開発を行うようになりました。補償内容を自分で自由設計できる火災保険や、専用アプリで簡単に連絡がとれる火災保険など個性的な保険が増えています。
35年契約を5年長期一括契約に乗り換えるメリット
現在加入している火災保険が35年契約という人も、最新の火災保険に乗り換えることができます。ただ見直しするのも面倒ですし、そのままでいいと考えている人が多いかもしれません。でも、5年長期一括契約に乗り換えることで、いくつものメリットを得ることができます。
どのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
新価での契約になり補償が手厚くなる
古い火災保険の中には保険金を時価で受け取る設定になっている商品が多く、火災保険を乗り換えることで、新価(再調達価額)で保険金を受け取れるようになります。時価というのは現在の建物の価値で、新価というのは家を建てたときの価値です。
評価額が2,000万円の家を建てたとして、家の価値は年々下がるのが一般的で、20年経過したときの評価額が1,000万円になったとします。時価で保険金を払うタイプの火災保険ですと、この状態で家が全損しても受け取れるのは1,000万円までです。
ところが新価で保険金を受け取れるタイプの火災保険なら、保険金は2,000万円もらえます。時価ですと家を建て直すのに自己負担が発生しますが、新価なら負担ゼロで再建できます。保険として安心なのは明らかに新価ですよね。
現在の火災保険はほとんどが新価で補償してくれるため、加入している火災保険が時価タイプなら、乗り換えをすることで手厚い補償を受けられるようになります。
最新のサービスを受けられる
保険期間が5年になり、乗り換えがしやすくなったこともあり、どの保険会社も魅力的な商品になるように、様々な補償や特約を開発しています。乗り換えることで、保険会社が用意した最新の補償を受けられるようになります。
例えば、損保ジャパンは置き配の盗難に対しても補償を行っており、楽天損害保険では保険料の支払いで楽天ポイントをもらえたり、支払いに楽天ポイントを使えたりします。ジェイアイ傷害火災保険は補償内容を自由に組み合わせることができます。
火災保険を乗り換えることで、このように最新のサービスを受けられるため、より安心して暮らせるようになります。
現状に合わせて最適化できる
ここ数年、全国各地で大規模な水害が発生しており、水災補償の重要性が見直されています。各自治体では水害ハザードマップが公開され、どこで水害被害が発生しやすいかが分かるようになっています。調べてみたら、自宅が危険なエリアだったけど火災保険に水災補償をつけていないということがよくあります。
火災保険を乗り換えることで、新しく水災補償を付けるといったことが可能になります。もちろん追加できるのは水災補償だけではありません。これまで付けていなかった補償を追加できますし、反対に不要な補償を外せます。
火災保険に加入したときには家族4人だったけど、子どもが独立して夫婦2人暮らしになったとします。そうなると家財に対して必要以上に保険料を払っている状態になり、保険料に無駄が発生しているのですが、乗り換えて見直しをすれば保険料の無駄がなくなります。
このように、乗り換えをすることで火災保険の最適化ができます。無駄なくしっかり補償を受けられる。それだけでも乗り換えする価値があります。
免責金額がフランチャイズ方式でなくなる
火災保険には免責金額というものがあり、免責金額を超えないと保険金を支払ってもらえません。最新の火災保険ではこの免責金額を自分で設定でき、免責金額を10万に設定していると、損害金額から10万円を差し引いた保険金を受け取れます。免責金額は0円に設定することもでき、その場合には保険料が上がりますが、少額な事故でも全額補償してもらえます。
20万円を超えたら全額支払われますが、少額の修理などは自己負担で直さなくてはいけません。
最新の火災保険に乗り換えることで、このフランチャイズ方式ではなくなるため、免責金額を0円に設定しておけば、軽微な損害でもきちんと保険金が支払われるようになります。
デメリット!保険料は高くなる可能性大
メリットではなくデメリットですが、35年契約の火災保険から5年長期一括契約に乗り換えると、ほとんどのケースで保険料が上がります。長期割引が短くなりますし、最新の火災保険は補償が手厚くなっているのと、自然災害がさらに増えたことで保険料が高めに設定されています。
ただし補償内容を見直して、必要な補償内容だけに絞り込みをしたり、特約を外したりすれば保険料を抑えることも可能です。それでも保険料が上がったなら、上記で紹介したメリットと保険料の増額を天秤にかけて、メリットのほうが大きいと感じたなら火災保険を見直してみましょう。
5年長期一括契約の相場
デメリットとして、5年長期一括に乗り換えることで、保険料が上がるかもしれなないとお伝えしましたが、保険料相場がどれくらいなのか具体的な金額を見ていきましょう。
建物 | 5年 | 1年 |
---|---|---|
T構造 (鉄筋・鉄骨) | 28万〜31万 | 6.2万~6.9万 |
H構造 (木造) | 46万〜53万 | 10万〜11万 |
所在地:戸建・東京都
契約年数:5年・1年
建物補償額:2000万円
地震保険:あり
補償内容:火災・風災・水災・破損・汚損
5年間での保険料は、木造の戸建てでも18.7万〜20.3万円程度です。思ったほどは高くないかもしれませんが、これは家財補償なしでの相場で、1,000万円の家財補償を付けると28万〜31万円になります。
保険料に幅があるのは、保険会社ごとに付帯サービスやサポート体制に違いがあるためです。コストカットのために、申込みから契約までインターネットで行う火災保険は保険料が安くなり、全国にサポート拠点を設置している大手保険会社の火災保険ほど、高くなる傾向にあります。
ちなみに保険会社によっては、オール電化割引など割引制度を用意しており、保険料金を大幅に下げられるケースもあります。保険選びをするときには、それぞれにどのような割引制度があるのかチェックしておきましょう。
35年契約から乗り換えるときのポイント
現在加入している35年契約の火災保険では不安で、最新の火災保険に乗り換えを検討するときに知っておいてもらいたいポイントが5つあります。これから保険の見直しをするという人に役立つ内容になっていますので、検討時の参考にしてください。
途中解約すると解約払戻金を受け取れる
火災保険を乗り換えるときに気になるのが、解約したら保険金が無駄になるのでは?ということですよね。安心してください。火災保険は解約すると未経過期間に応じて解約払戻金が支払われます。いくら戻ってくるかは保険会社が設定した未経過料率によって決まります。
火災保険料:150万円
未経過料率(20年経過):50%
解約払戻金:75万円(150万円×0.5)
未経過期間が長ければ、新しい火災保険の保険料よりも解約払戻金のほうが大きくなることもあります。
必要な補償内容が含まれている確認する
新しい火災保険を選ぶときには、補償内容をしっかりとチェックしましょう。ポイントは自分に必要な補償内容が含まれていて、不要な補償内容が省かれていることです。一般的な火災保険では下記の補償内容で構成されています。
予算に余裕があればすべての補償内容を含んだフルサポートがおすすめですが、保険料を抑えたいなら、発生するリスクが低い保険は省きましょう。例えば高台にあるマンションは水災リスクが低いので省いても構いません。ただし土砂崩れリスクはあるので、水災は水害ハザードマップをチェックして判断しましょう。
他の補償に関しても必要がないと思ったら省いていきましょう。反対に火災補償や風災補償は必ず入れておきましょう。この2つは、ほとんどの火災保険でデフォルト設定されていますが、風災が外れていることもあるので、必ず確認してください。
生活に余裕がないなら地震保険にも加入する
乗り換えるときには、地震保険も検討してください。火災保険だけですと地震が原因の火災や津波被害は補償の対象外になります。地震に対しても保証を受けたいなら地震保険にも加入しておきましょう。地震保険の契約期間は最大5年になっていますで、こちらは5年契約にしましょう。
保険料が増えてしまうので地震保険は付けないという人もいますが、金銭的な理由で生活に余裕がない人ほど地震保険には加入しておきましょう。地震保険に入っていないと、震災で家が倒壊したときに住宅ローンと建て直すためのローンの2重払い状態になります。
自分で被災したときをイメージしてみて、お金に困りそうなのであれば地震保険にも加入しておきましょう。
更新忘れのない自動継続方式を選ぶ
35年契約の場合には住宅ローンが終わるまで継続となりますが、5年長期一括契約の場合には5年ごとに更新となります。この更新のたびに火災保険の見直しをしてもいいのですが、更新を忘れると火災保険に空白期間ができてしまいます。
そのタイミングで被災すると保険金を受け取れませんので、基本的には自動継続方式になるように設定してください。最初から自動継続になっている火災保険もあれば、特約をつけないと自動継続できない火災保険もあります。
できるだけ自動継続できるようにしておき、必要に応じて更新のタイミングで見直しをするというのがおすすめです。
一括見積りサービスを利用する
火災保険の見直しをするときには、複数の保険会社から見積もりを出してもらいましょう。シミュレーションでも概算はわかりますが、正確な保険料は見積書で確認する必要があります。その見積書を比較して自分に最適な火災保険を選んでください。
このとき1社ずつ見積依頼するのではなく、一括見積りサービスを利用するのがおすすめです。1社ずつ見積依頼するよりも時間の短縮になりますし、一括見積りサービスによっては保険選びの相談にも乗ってくれるので、火災保険に詳しくない人でも最適な保険を選べます。
火災保険の窓口でも一括見積りサービスを行っており、もちろん保険選びの相談にも対応しています。契約後もしっかりとサポートしていますので、いざというときにも安心です。ここで紹介しきれなかった乗り換えのアドバイスも行っていますので、不明な点がありましたら気軽にご連絡ください。
まとめ
35年契約で火災保険に入っている人は、保険金が時価で支払われるケースも多く、免責金額もフランチャイズ方式を採用している場合には、ちょっとした損害は自己負担になっていることもあります。これらの契約では、いざというときに十分な補償金を受け取れません。
どうせ火災保険に加入するなら、しっかりと補償を受けたいですよね。それなら5年長期一括契約の火災保険に切り替えましょう。保険料が上がる可能性はありますが、補償が充実しており、いざというときにとても頼りになります。
現在加入している火災保険を中途解約しても解約払戻金を受け取れますので、解約して損をすることもほとんどありません。それ以上に充実した最新の補償で建物や家財を守ることができますので、現在の火災保険では補償が不十分だと感じている人は、保険の見直しをしましょう。
そのときに、1社ずつ見積依頼するのではなく、火災保険一括見積りサービスを利用すると、スムーズに火災保険を決められます。火災保険の窓口では、火災保険の知識があまりない人でも丁寧にサポートいたしますので、乗り換えを検討中であれば、ぜひご利用ください。
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