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火災保険を選ぶときに重要なのが、保険会社の信頼性です。どれほど優れた保険商品であっても、保険会社が倒産したり、不払い問題を起こしたりするのでは安心して利用できません。そのため、火災保険を選ぶ場合、業界大手で信頼性の高いあいおいニッセイも候補の一つとして検討している人も多いかと思います。
しかし、あいおいニッセイには大手保険会社ならではのデメリットも存在し、誰にでもおすすめできる火災保険というわけではありません。そこで、この記事では、あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」のデメリットについて、詳しく解説していきます。
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丸尾健 FP経験15年目
(1971.1生まれ)
株式会社N&Bファイナンシャル・コンサルティング代表取締役。大学卒業後、大手商社系ハウスメーカーの店長職を経て国内金融機関のファイナンシャル・プランニング部門に転職。FP経験現在15年目。新規年間相談件数120件前後、面談累計件数1,500件以上。主に個別相談を中心に活動する実務家FP。
あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」のデメリット
あいおいニッセイは、2024年のオリコン顧客満足度調査において、火災保険部門で総合7位にランクインしています。前年の9位から2つ順位を上げていますが、業界大手としてはやや低めの評価にとどまっています。利用者の満足度がそれほど高くない背景には、いくつかの理由があります。
あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」には、以下の5つのデメリットがあり、顧客満足度が伸び悩む原因となっています。
- 三井住友海上「GK すまいの保険」と同じ補償内容
- 契約プランの自由度が低い
- 特約の種類が多すぎて把握するのが難しい
- 割引制度がほとんど用意されていない
- インターネットで契約できない
それぞれのデメリットについて、詳しく解説していきます。
三井住友海上「GK すまいの保険」と同じ補償内容
火災保険の比較検討を進めている人なら、すでに気付いているかもしれませんが、あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」は、三井住友海上「GK すまいの保険」とほぼ同じ補償内容となっています。
これは、あいおいニッセイと三井住友海上の両社が、MS&ADインシュアランスグループホールディングス(以下 MS&AD HD)の傘下であることが関係しています。
MS&AD HDの社長は、2社の共通化作業を行っており、将来的に合併の可能性も視野に入れていると明言しています。
補償内容以外の面で両社に違いはあるものの、火災保険商品として大きな違いがない場合、より会社規模の大きい三井住友海上のほうが安心感はあります。実際、オリコン顧客満足度調査では、三井住友海上は5位で、あいおいニッセイは7位と、わずかに三井住友海上が上位に位置しています。
現時点では、この点をそれほど大きなデメリットに感じないかもしれません。しかし、将来的な合併の可能性を考慮すると、あいおいニッセイの火災保険は選びたくなる決定的な理由に欠けるという点は、デメリットとして把握しておくべきポイントになります。
契約プランの自由度が低い
暮らしの多様化が進む中で、近年の火災保険では「自分でカスタマイズできる」商品の人気が高まっています。それらの商品は「火災、落雷、破裂・爆発」に対する補償を基本とし、その他の災害に対する補償を契約者が選ぶことで、最適な補償内容にカスタマイズできます。
ところが、あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」は、固定された5つの契約プランから選択する形式を採用しており、自由度が低くなっています。
さらに、他社では個別で選ぶことができる「建物外部からの物体の落下・飛来・衝突等」と「騒擾、労働争議に伴う暴力・破壊行為」が、「破損、汚損等」とセット扱いになっています。このため、必要な補償だけを選ぶことができません。
幅広い補償を受けられる点はメリットでもありますが、不必要な補償に対しても保険料を支払うことになり、保険料がそれほど安くないことを考慮すると、大きなデメリットになります。
特約の種類が多すぎて把握するのが難しい
あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」は、契約プランの自由度が低い代わりに、多彩な特約を用意しており、自分に合った火災保険を構築できます。
特約の種類が豊富であることは一見するとメリットでもありますが、種類が多すぎて全体を把握しきれない状態になっています。
具体的にどのような特約が用意されているのか見ていきましょう。
あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」には、賃貸住宅入居者向けのオプション特約も含め、以下の特約があります。
- 事故時諸費用(火災・風水災等限定)特約
- ライフライン停止時仮すまい費用等特約
- 類焼損害・失火見舞費用特約
- 日常生活賠償特約
- 受託物賠償特約
- 弁護士費用特約
- 建物全壊時一時金特約(地震・噴火・津波)
- 特定機械設備水災補償特約
- 建物省エネ化費用特約
- 建物電気的・機械的事故特約(専用・併用住宅用)
- 屋外明記物件特約
- 自宅外家財特約
- 家財明記物件特約
- 借家賠償・修理費用特約
これらをすべて把握し、自分に最適な火災保険を作り上げることがどれほど難しいかは、容易に想像できるかと思います。また、本当に必要な特約に気付かずに見逃してしまう可能性がある点も、あいおいニッセイの火災保険のデメリットになります。
5年後の火災保険更新時期に違う会社の保険にしようかな。
— まいまい (@yuiyui10021) April 18, 2024
ビルトイン食洗機の故障で保険おりなかった。タブレットとかで保険おりる会社もあるのに残念。あいおいニッセイ同和損保は保険弱めなのかなー😂みんな火災保険は何に入ってるんだろ🥹
割引制度がほとんど用意されていない
あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」は、保険料の安さではなく、充実した補償内容を強みとしている火災保険商品です。このため、保険料を安く抑える手段は、以下の2種類しか用意されていません。
- 免責金額を設定する
- 長期契約する
保険料は火災保険を選ぶ際の重要なポイントの一つですので、割引制度が少ないことは、「タフ・すまいの保険」を選ぶうえでのデメリットとなります。
この点が、他社の商品と比較する際に選択肢から外れてしまう理由になっている可能性があります。
インターネットで契約できない
他社の火災保険には、インターネットで申し込みが可能な商品もあり、ネット完結で契約手続きを進められる商品も増えています。ところが、あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」は、契約に際して代理店を利用する必要があります。
保険未加入で火災などが起きた場合、修理費用とローンの二重払いになり、支払いで生活が圧迫されローンの滞納につながる可能性があるためです。
代理店を利用することで、保険内容の詳細な説明を受けたり、最適なプランの提案を受けられたりするといったメリットはあります。しかし、仕事が忙しい人や生活圏内に代理店がない人にとっては、インターネット契約ができないことは大きなデメリットになります。
あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」の契約プランと補償内容
あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」は、補償内容を自分で選ぶのではなく、備えたいリスクに適した契約プランを選べるようになっています。どのような契約プランが用意されているのか見ていきましょう。
あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」の契約プラン
あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」には、以下5つの契約プランがあります。
- フルサポートプラン
- セレクト(水災なし)プラン
- セレクト(破損汚損なし)プラン
- セレクト(水災、破損汚損なし)プラン
- エコノミープラン
手厚い補償を希望する人に適しているのが「フルサポートプラン」で、すべての基本補償を受けることができます。一方、水災や破損・汚損に備える必要のない場合は、それぞれを補償対象外とした「セレクトプラン」がおすすめです。
また、必要最低限の補償内容にすることで保険料を安く抑えた「エコノミープラン」も用意されています。このため、火災保険にお金をかけられない人でも加入できます。
基本補償一覧
プラン | フルサポート | セレクト (水災なし) | セレクト (破損汚損なし) | セレクト (水災、破損汚損なし) | エコノミ |
---|---|---|---|---|---|
火災、落雷、 破裂・爆発 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
風災、雹(ひょう) 災、雪災 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
水災 | ◯ | – | ◯ | – | – |
盗難 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | – |
水漏れ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | – |
騒擾(そうじょう) | ◯(※) | ◯(※) | – | – | – |
外部からの 落下、飛来等 | ◯(※) | ◯(※) | – | – | – |
破損・汚損など | ◯(※) | ◯(※) | – | – | – |
※「建物外部からの物体の落下・飛来・衝突等」および「騒擾、労働争議に伴う暴力・破壊行為」は「破損、汚損等」に包含されています。
自動でセットされる特約
あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」は、各プラン共通で以下の特約が自動的にセットされます。
保険の対象となる建物で、盗難などの犯罪行為が発生した場合、再発防止のために設置した防犯機器の費用などが補償されます。
建物の損害に対する損害保険金の支払額が、1回の事故で建物保険金額に相当する額に達し、契約が終了する場合、200万円を限度に損害保険金の10%が支払われます。
補償対象となる損害の復旧にあたり、ブルーシートでの養生など仮修理費用や仮住まいの費用を、必要かつ有益な範囲で補償します。
地震や噴火、津波などを原因とする火災によって建物が半焼以上となった場合、300万円を上限に臨時的に発生する費用の5%が補償されます。
※オプションにより、補償金額を30%もしくは50%に引き上げることも可能です。
契約者が管理するマンションなどの専用使用部分(バルコニーや玄関など)に発生した損害に対して、管理組合規約に基づいて契約者が負担する修繕費用を、1回の事故につき1敷地内ごとに30万円を上限として支払ってもらえます。
あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」の特徴
あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」にはデメリットもありますが、大手保険会社だからこそのサービスも展開しており、他社にはないメリットもあります。どのようなメリットがあるのか、あいおいニッセイの火災保険の特徴を詳しく見ていきましょう。
夜間も休日も社員が事故対応している
保険会社によっては、夜間や休日の事故対応を行わない場合もありますが、あいおいニッセイには夜間・休日専用のサービスセンターがあり、いつでも平日と同様の事故対応サービスを受けられます。
しかも、業務委託したコールセンターではなく、あいおいニッセイの社員が対応するので、以下のような社員の判断が求められる業務にも対応しています。
- 事故の受付
- 保険金支払いの可否判断
- 一般的な相談やアドバイス
- すでに対応中事案の相談や対応
たとえば、金曜日の夜に排水管の破損で漏水が発生した場合も、迅速に損傷確認のための鑑定人を手配してくれます。
さらに、「保険金が使える」といった勧誘を行う悪徳業者とのトラブルの相談や、信頼できる住宅修理業者の紹介なども、住宅修理サービスに関する相談窓口で、24時間365日無料で対応してもらえます。
すまいの「困った」にもスピーディーに対応
あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」に加入すると、以下の頼れるサービスを無料で受けられます。
トイレの詰まりなど水回りのトラブルや、玄関ドアの鍵紛失といったトラブルが発生した際に、専門業者を手配して緊急対応してもらえます。
※無料になるのは、30分以内の一時的な応急修理費用(出張費および作業費)のみです。30分を超える修理費用や部品代金などは契約者の負担となります。
不動産購入時のトラブルなど、日常生活における法的な疑問について、弁護士が電話相談に応じてくれます。さらに、住宅ローン減税などの税務相談についても、税理士が電話相談にてアドバイスしてくれます。
専用アプリで防災・減災をサポート
あいおいニッセイでは、「あいおいニッセイ同和損保アプリ」を提供しており、防災や減災のためのさまざまなサポートを受けられます。
平時 | 防災家族会議の開催 |
災害発生時 | 災害発生情報の通知 |
災害発生後 | 事故報告・保険金請求 |
専用アプリにはこのような機能が搭載されています。さらに、台風・豪雨・地震による建物被害予想や、大雨・洪水などのリスク情報を確認できるcmapもアプリから利用できます。
災害による被害を最小限に抑えるには情報収集が非常に重要になりますが、あいおいニッセイのアプリを使えば、簡単に必要な情報を集めることができます。
建物診断ソリューションにより建物の状態を確認できる
「あいおいニッセイ同和損保アプリ」から専用Webアプリに接続し、建物の外観写真を提出すると、AIによる画像分析によって建物の外観上の損傷有無を検知してもらえます。
このサービスを利用すれば、定期的に建物に潜むリスクを確認できます。診断結果で「損傷あり」と判断された場合、速やかに補修やメンテナンスを行うことで、災害発生時の被害を最小限に抑えることが可能になります。
あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」はこんな人におすすめ
ここまでの説明で、あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」のメリットとデメリットを理解できたかと思います。それらを踏まえて、どのような人にこの火災保険が適しているのかを解説していきます。
あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」が適しているのは、以下のいずれかに該当する人です。
- 都市部などの住宅密集エリアに持ち家が建っている人
- スムーズに保険金を受け取りたい人
- しっかり説明を受けたうえで契約したい人
- ハウスメーカーや金融機関から勧められた人
それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
都市部などの住宅密集エリアに持ち家が建っている人
あいおいニッセイの火災保険には、地震火災費用特約が自動セットされており、この特約だけでも火災保険金額の5%を地震保険に上乗せして保険金を受け取れます。
しかもオプションを使うことで30%または50%の補償を追加することができ、地震保険と合わせて火災保険金額の100%まで受け取れます。
対象となるのは地震による火災のみですが、都市部などの住宅密集エリアは、埋立地でもない限り津波のリスクはかなり低くなります。さらに最近の住宅は耐震等級が高く、地震による倒壊のリスクも低くなっているため、地震火災のみの補償で困ることはほとんどありません。
このため、都市部などの住宅密集エリアに持ち家が建っている場合には、地震火災にしっかりと備えられるあいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」が適しています。
スムーズに保険金を受け取りたい人
あいおいニッセイは、保険金の支払いに定評がある保険会社です。オリコンの口コミを見ても、保険金をスムーズに受け取れたという声が多く、不払いが問題となることが多い火災保険においては、信頼できる存在となっています。
災害発生時には、すぐにでも修理費用が必要になるケースが多いため、迅速な対応をしてくれるあいおいニッセイの火災保険は魅力的な商品です。普段から貯金する余裕がなく、いざというときに保険金を確実かつスムーズに受け取りたい人は、あいおいニッセイの火災保険も選択肢に入れておきましょう。
しっかり説明を受けたうえで契約したい人
インターネット契約できない点を、あいおいニッセイのデメリットとして紹介しましたが、必ずしもすべての人にとってデメリットになるわけではありません。たとえば、公式サイトやパンフレットだけでは、保険内容を十分に把握できない人にとっては、代理店での契約が適しています。
保険未加入で火災などが起きた場合、修理費用とローンの二重払いになり、支払いで生活が圧迫されローンの滞納につながる可能性があるためです。
火災保険は最大5年更新で、そのタイミングで乗り換えられるとはいえ、いつ災害が起きるかはわかりません。妥協することなく、時間をかけてしっかりと検討したいなら、あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」はおすすめの火災保険になります。
ハウスメーカーや金融機関から勧められた人
注文住宅を建てる際、ハウスメーカーや金融機関からあいおいニッセイの火災保険を勧められることがあります。
この場合、団体割引を適用できるケースもあり、保険料を抑えられる可能性があります。そのような場合には、ハウスメーカーや金融機関を通じて契約するのがおすすめです。
ただし、ハウスメーカーや金融機関の担当者は火災保険の専門家ではないため、最適なプランを提案してくれるとは限りません。それでも、5~10%程度の割引を受けられますし、金融機関の紹介なら、住宅ローンとセットで手続きできるといったメリットもあります。
火災保険商品としてデメリットがあるものの、団体割引を利用すれば、そのデメリットが小さくなるケースも多々あります。そのため、ハウスメーカーや金融機関から勧められた場合は、有力な選択肢として検討する価値があります。
まとめ
あいおいニッセイの火災保険「タフ・すまいの保険」は、三井住友海上の「GK すまいの保険」とほぼ同じ補償内容となっており、将来性だけを考えると、あえて選ぶメリットは少ないかもしれません。しかし、すべてのプランに頼れるサービスが無料で付いているなど、商品全体で見ると、あいおいニッセイを選ぶ価値は十分にあります。
とくに魅力的なのは、アプリを活用した防災・減災サポートと、スムーズな保険金支払い対応です。災害による被害を最小限に抑えられるだけでなく、万が一損害が発生した場合でも迅速に対応してくれるのは、大きなメリットといえます。
都市部などの住宅密集エリアに持ち家がある人や、ハウスメーカーや金融機関から勧められた人にとっては、メリットがデメリットを上回り、高い満足度を得られる可能性があります。ここで紹介したデメリットがさほど気にならない場合には、選択肢の一つとして検討してみることをおすすめします。
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